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開催報告:海から考える環境問題「海を漂うマイクロプラスチックとは?」

▲▽▲本日のプログラムと講義概要▲▽▲

①プラスチックの生産と排出
□講義の前半では、プラスチックの歴史や世界的な生産・廃棄の実態といった基礎知識から全体像を概観しました。
□驚異的な流出規模: 世界のプラスチック年間生産量は約4億6000万トンに達し、そのうち年間1000万トン以上(東京スカイツリー250基分に相当)が海洋へ流出しているとされています。
□マイクロプラスチックの定義: 研究者の間で「5mm未満」の粒子と定義されており、最初から微細に作られた「一次(洗顔料のスクラブなど)」と、紫外線や波の衝撃で破砕された「二次(タイヤ摩耗粉やビニール片など)」に分類されます。
□高い回収困難性: 一度環境中に出てしまうと、微細すぎるがゆえに回収することは極めて困難です。

②海洋プラごみ調査の事例
◇鈴木先生が実際に行われた知多半島、沖永良部島、インドネシアでの過酷な海岸調査のデータが詳しく紹介されました。
◇沖永良部島での驚くべきデータ: 2024年の台風通過後に調査したところ、全国平均の約10倍のマイクロプラスチック密度を記録。漂着したペットボトルのラベルはすべて外国語表記であり、海外からの漂着実態が浮き彫りになりました。
◇「化学物質の運び屋」としてのリスク: プラスチックはサイズが小さくなるほど「比表面積(有害物質を吸着できる面積)」が増えます。有害化学物質をより高濃度に吸着・濃縮し、生物に摂食されることで食物連鎖を通じて生態系へ影響を与えるリスクが強調されました。

③ 繊維状マイクロプラスチック研究の事例
◆後半は、鈴木先生の専門研究である、洗濯排水などに由来する「繊維状マイクロプラスチック(マイクロファイバー)」に焦点を当てました。
◆新規分析手法「蛍光染色観察法」の開発: 従来の手法では検出が難しかった極小の繊維を、「ナイルレッド」という試薬で染色して光らせることで、正確に計測する画期的な手法を開発されました。
◆汚水処理施設の高いポテンシャル: 日本の下水処理場や浄化槽は非常に優秀で、95%以上の高い確率でマイクロプラスチックを除去しています(流域浄水機能)。
◆真の課題は「未処理排水」: 排出量を重量ベースで再計算すると「年間48トン」と推計され、環境へ流出する繊維の約75%が、汚水処理が普及していない地域(約10%)の未処理排水に起因していることが明らかになりました。

④プラスチック汚染の対策動向
■国際的なビジョンと動向: 日本が提唱する「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン(2050年までに海洋プラごみ汚染ゼロ)」をはじめ、国際条約の交渉が進められています。
■イメージに流されないこと: 「カメの鼻にストロー」といった感情的なイメージや極端な対策(安易な紙ストロー化による別の環境負荷など)に流されず、科学的な事実を見極める視点が大切です。
■私たちができること: 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の基本を実践しつつ、個々人が自身の生活の中で「無理なく継続できる範囲の行動」を続けていくことが、持続可能な未来への第一歩となります。

おしまい