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【実施報告】なごやSDGsスタディツアー2025 株式会社マザーハウス×名古屋市立星ヶ丘小学校

2026年2月5日(木)・6日(金)に「なごやSDGsスタディツアー2025」を行いました。
「なごやSDGsスタディツアー」は、名古屋市内でSDGsに取り組む企業と小・中学校をつなぎ、持続可能な社会をつくる主人公としての学びの場を創出する事業です。児童・生徒が地域の企業を訪問し、SDGsの実践現場に触れることで「SDGsは身近なもの」と気づき、自分に何ができるかを考えます。
名古屋市立星ヶ丘小学校の5年生78名が株式会社マザーハウス(以下、マザーハウス)のお店を訪れました。マザーハウスは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念に掲げ、途上国の素材や技術を活かしたアパレル製品や革製品などを企画・製造・販売している企業です。ものづくりを通して、途上国の可能性を世界に発信し、持続可能な社会の実現を目指しています。
今回の「なごやSDGsスタディツアー」は、マザーハウスの社員を招いての学校での授業とマザーハウス名古屋星が丘テラス店訪問をコンテンツとしました。5日(木)に5年1組、6日(金)に5年2組・3組と2日間かけて、【学校での授業→店舗訪問】グループと、【店舗訪問→学校での授業】グループと2つに分けて行いました。した。【店舗訪問→学校での授業】グループの学習の様子をお伝えします。
【お店に出発!】
学校から歩いて10分ほどにあるある星が丘テラスに、マザーハウスの店舗はあります。「あっ!ここ知ってる、前を通ったことがある」「初めて入った!」「かわいい、このお財布!」と、子どもたちの声がはずみます。星が丘テラス店の大岩店長が出迎えてくださり、店内を案内してくださいました。

最初はジュエリーのコーナーです。「インドネシアなどの途上国で作られているんです」という説明に、子どもたちはキラキラと輝く繊細なアクセサリーをじっと見つめていました。続いてストールの紹介。やわらかな素材に触れてみると、「気持ちいい!」と声が上がります。そのあと、ジュートのカバンやリンネシリーズ、革の小物など多様な商品が紹介されます。

店舗スタッフが革のバックのお手入れ方法として、ケア用品を使ってのブラッシングを教えてくれました。「こうやってケアをして大切に長く使ってほしいんです。」リンネシリーズの説明も聞きました。「輪廻は生まれ変わるという意味です。回収したバッグを解体して、使える革を使って作られた、生まれ変わった商品です。一つひとつ革の質感や色が違っていて世界に一つだけのもバッグです。」、子どもたちは「すごい!」「一つしかないんだ」と驚いた様子でした。

「気に入った商品を一つ選んでみてください。」スタッフから声がかかると、子どもたちはワクワクしながら商品を探し、選び始めます。「これ、使わなくなったバッグからできてるんだって」「このグラデーションのお財布、きれい。何をイメージして作られたんだろう」可愛さや好みだけで選ぶのではなく、SDGsのゴールと結びつけながら商品の背景に思いを馳せて選んでいました。
【社員の「思い」に学ぶ】
お店での見てきたこと、知ったことをふりかえる授業を行いました。
マザーハウスの大岩店長が子どもたちに語りかけます。「普段の授業や学校から飛び出して、みなさんにとって新しい発見や出会いにあふれる時間にできたらと思っています。」お話のテーマは「Meet the New World ~マザーハウスの持続可能なモノづくり~」です。まず、マザーハウスの仕事について動画を見て学びます。「どんなものを作っていましたか?」「どんな国で作られていましたか?」と問いかけると、子どもたちが「バッグ!」「財布!」「バングラデシュ!」と元気よく発言します。マザーハウスがバングラデシュ・スリランカ・インドネシア・ネパールの4カ国でものづくりを行っていること、そしてこれらの国が「途上国」であることを学びます。「さっきお店で見たジュエリーはインドネシアで作られていたね」と先ほどの見て聞いてきたことと結びつけて、授業は進みます。
「バングラデシュはどこにある?」「国旗はどれ?」とバングラデシュついて学びます。「バングラデシュの国旗は日本の国旗によく似ています。バングラディッシュが日本のように発展できるようにという願いが込められています。」という説明を聞いた子どもたちは「知らなかった!」「確かに似てる!」と驚きの様子でした。


「バングラデシュでよく使われる布の素材はジュート(麻)とレザー(革)です。」ジュートが何かわからなかった子どもも、麻バッグを見て「これなんだ!」と触って感触を味わいます。「ジュートは丈夫です。丈夫だけでなく、プラスチックと違って土に還るとても環境にやさしい素材です。マザーハウスのものづくりはこのジュートから始まりました。」
では質問です。「なぜ今はレザー(革)製品が主になっているのでしょうか。」子どもたちは沈黙状態。「バングラデシュはイスラム教の国です。年に2回、イードという牛やヤギを神様に捧げるお祭りをしています。捧げた牛や羊のお肉は貧しい人たちと分け合って食べられますが、残った皮のほとんどは捨てられてしまっていました。その捨てられる皮を加工して、カバンやお財布を作ろう、としたことが始まりです」。捨てられていたものを素材にしたものづくりをする。現地の人の雇用を生み出していく。子どもたちは真剣な表情で聞き入っていました。「バングラデシュでのものづくりは今年20周年を迎えます。第2の家のような安全・安心な工場で、400名ほどの職人たちが手作りで素敵な商品を作り続けています」。

マザーハウスの「持続可能なモノづくり」についての話が続きます。「マザーハウスでは、商品をお客様にお届けするだけでなく、お届けした後も長く使っていただけるようにサービスをしています。革製品のケアや、壊れてしまったバッグや小物の修理を受け付けています。」。また、お店で紹介した「リンネシリーズ」について話されました。「『リンネ』という言葉には、バッグへの愛着をバトンタッチしていく、生活の中で新たに循環していく、という意味が込められています」。先ほどお店で実際に手に取った商品を思い出しながら、「意味のあるものづくり」をしているマザーハウスへの興味が高まりました。
【振り返りの時間】
「マザーハウスがどんな仕事をしているのか」「どんな思いで仕事をしているのか」「お店に行ってどう思ったか」「SDGsとどうつながっているのか」「私には何ができるのか」などを考え合う時間を持ちました。「捨てられていた革をバッグにしている」「リンネでまた新しい商品ができる」「ジュートが土に還る素材でエコだと思った」「工場が第2の家みたいで、スタッフが大切にされている」…。見たこと、触れたこと、聞いたこと、学んだことが次々と言語化されていきます。「いつも通り過ぎていたお店でそんなことをしているんだね」と話す子どももいました。また、SDGsのどの目標に繋がっているのかをしっかりと対話の中から落としこんでいる子どもたちでした。

【ツアーを終えて】
同じ地域にあるお店のことを知る。お店が大切にしていることを学びあう。子どもたちは日常のなかで「マザーハウスの店」の前を通ることでしょう。その時に今日の学びや気づきをふっと思い出してくれたら、と思います。
「持続可能なモノづくり」の大切さを、商品を見て触れる。気づいたこと、学んだことを行動につなげる。バッグやジュエリーからモノづくりの背景にある人の思いや社会とをつなぐ。
捨てられていた革がバッグになる。使われなくなったバッグの素材が新しいバッグに生まれかわる。土に還る麻(ジュート)が環境を守りながら人の手に渡る。こうした「ものの一生」を学んだ子どもたちが、これからの暮らしの中で何かを手に取った時に。「かわいさ」「好み」だけで選択するのでなく、「これはどこで誰が作ったんだろう」「長く大切に使えるように手入れをしよう」「環境や人の暮らしが考えられているだろうか」とほんの少しでも立ち止まって考えてくれたのであれば、このツアーの意味は十分に果たされたと思っています。日々の暮らしの中でSDGsを感じられる。このツアーの醍醐味です。