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【開催報告】第4回SDGsオンラインセミナー

  • レポート

8月26日(金)にSDGsオンラインセミナー「消費者とともに歩く企業」を開催いたしました。

第4回では、株式会社日本旅行 静岡支店 支店長の沼田様をお招きしました。「Tourism for Tomorrow『おもいやり』と『きずな』で今ツーリズムにできることを」と題しまして、日本旅行様がおこなっているサスティナブルな企画を取り入れた旅行と学校と企業の連携によっておこなわれる教育旅行についてお話していただきました。

旅行産業の現状
観光産業は世界のGDPの10%を占めているのだそうです。
しかし観光産業の成長には自然資源への配慮や労働者の労働環境、受入れ地域との関係など困難な部分もあります。

そして現在、旅行業界はコロナウィルス感染症で大きな影響を受けています。感染症で人々の行き来が規制される中で、旅行業界自体が持続可能なものではなくなったというところまできていると沼田さんはおっしゃっていました。どのような取組で日本旅行様が持続可能な事業を展開しているのでしょうか。

日本旅行が目指すもの
旅行会社で初めてSDGs宣言をしたのが日本旅行様でした。日本旅行様は旅行に特化した事業を展開していましたが、現在では観光という“点”ではなく、観光以外のサービスも視野に入れた“面”としての事業展開を目指しているとのことです。それは、自然環境への配慮や地域経済に貢献していくような観光で、これらがサスティナブルな目線になっていくのだそうです。

修学旅行は新たな教育旅行へ
修学旅行などの教育旅行は、今まで変化してきているのだそうです。
2005年以降、生きる力を学習の中に組み込んだキャリア学習により、修学旅行に企業訪問などを取入れました。
2011年以降は国内のグローバル化により、海外からの留学生とのコミュニケーションを軸とした研修旅行が目立ってきました。
2017年には首都圏で“探求”や“SDGs”を学習に取入れた旅行がおこなわれるようになりました。
2019年からは地方創生を学ぶ旅行となっていき、研修先で探求やSDGsをテーマに学び、自分たちの住んでいる地域へ目を向ける学習がおこなわれるようになりました。
こうして変化してきた修学旅行ですが、2020年には中止が相次ぎ、旅行会社には困難な時期となってしまいました。そこで、修学旅行という学習の機会をなくすのではなく、代わるもの意味のある教育旅行を見つめなおしていこうという方針になり、『オンラインを活用した事前学習』『SDGs』『サスティナブル』『持続可能な地域の担い手』『地方創生』をキーワードに事業を展開することにより、今年2021から修学旅行の需要が戻ってきたそうです。

教育事業の展開―SDGsスチューデントアンバサダー-
未来を担う高校生にSDGsを取入れた企画に触れあってもらうことで、高校生の価値観や社会に求めることを共有することで、共にサスティナブルの社会を創造していく場を提供していく取組みがSDGsスチューデントアンバサダーです。
全国大会では全国90校以上、600人以上の高校生が参加します。SDGsスチューデントアンバサダーではSDGsの取組、地域企業の発表やカンファレンスを聞いた学生から意見などを発表していただき、サステナブル・ブランド国際会議にその学生を招待する事業だそうです。
企業と学生を結ぶ事業は高校生だけにとどまらず、大学生や教員に向けてのプログラムも行っているそうです。
企業や地域とのつながりを大切にしてきた旅行会社だから運営できた取組だと思います。


国際的なSDGsの取組み
シンガポールのスマートネーション※をテーマとしたプログラムを開発しているそうです。シンガポールとは教育関係も連携してグローバルな関係をすすめているとのことです。
※スマートネーションとは…シームレス(円滑で利用しやすい)なテクノロジーを活用することで、すべての人に便利で充実した生活がおくれること

国内では、宮城県松島町、奈良市、熊本市などの地方自治体と連携し、SDGsの観点からの問題点や解決案を学習できる素材をつくっているそうです。沖縄の八重山では、きれいなビーチがある一方、海洋ゴミが問題になっています。そのゴミを生徒が集め、繊維を作り、商品を生徒に送るプログラムが紹介されました。

旅行会社でありながら、世界との繋がりを大切にし、問題を解決していきたいと沼田様はおっしゃっていました。今まで、築いてきたネットワークを大切にし、新しいものに取組むことで、旅行会社の新しいサスティナブルなあり方を切り開いているのだと思いました。


沼田様、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
当日見逃した方、またもう一度ご覧になりたい方のために、アーカイブもなごや環境大学YouTubeチャンネルにて公開しております。ぜひ、ご覧ください。



沼田様への質問にご回答いただきました。

Q:今後どのようなゼロカーボンツアーを考えていますか?
A:滋賀県、熊本県にて実施している方面を多方面に増やしてくことが当面の目的としております。

Q:修学旅行など様々な学生・教員が参加する場合、 身体・知的・精神障碍者も います。また最近は、様々な宗教・アレルギーの人もいます。食べられない料理がでることもあります。 学校側でまず対応するでしょうが、会社としても何か準備するのでしょうか?
A:障害等をお持ちの方の対応は、個人毎に最適な対応を保護者様と確認を行い手配・実施しております。又、食事対応もアレルギー、宗教的な問題も含め送客先の施設と相談をしながら旅行会社が受けております。(代替食を準備し対応を基本実施しております)
学校様、生徒様、保護者様が希望する内容に全力で取り組んでおります。

Q:参加された学生・教員から 具体的にどのような感想が出されたのでしょうか?良かった感想・悪かったという感想を教えて頂きたいです。
A:スチューデントアンバサダーー大会での感想で多くは、様々な企業の活動を知り未来に繋がる意識が高くなったとのお声を頂きます。様々な分野の企業様との機会を今後も増やして欲しいとの声も多く頂いております。
又、開催のスケジュール的な問題点ですが、内容が良いので時間を長く確保してほしいとの声や開催会場の場所の問題でオンライン参加での学校様からは地元での開催を希望する等の声を頂いております。