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「渋沢栄一の夢とSDGs」を開催しました!

  • レポート

4月17日(日)になごや環境大学×マザーアースプロジェクト共催「渋沢栄一の夢とSDGs」を鯱城ホールにて、実施しました。

NPO法人共存の森ネットワーク理事長であり、渋沢栄一の曾孫である澁澤寿一氏を講師にお迎えし、ご講演いただきました。

講師の澁澤先生は、全国の高校生100人が「森や海・川の名人」をたずねる「聞き書き甲子園」の事業や、各地で開催する「なりわい塾」など、森林文化の教育、啓発を通して、人材の育成や地域づくりを手がけられてきました。

渋沢栄一が日本に資本主義持ち込んだことで、現在どのような影響があったのか。

渋沢栄一の生きた時代の生活スタイルと現代を比較してみると、言うまでもなく、昔はとてもサステナブルで地域の中で生活していける、ある種充実した時代であったのではと思います。

経済的な成長・科学の進歩による発展・グローバル化が進む一方で、日本の食料自給率は低くなり、人と森や里山との関係は希薄になっています。現代、そしてこれからを生きる世代はどのように自然と関わっていったらよいか。

とても考えさせられる、大変貴重な講演でした。

講演会の後に澁澤先生と司会のマザーアースプロジェクト代表 飯田容子氏による対談を実施しました。

講演を受けて、自身も農業に携わっていた飯田氏が若い世代にどのように森や里山等の自然と関わればよいか、意識づけられるか等を質問し、澁澤先生と考えや意見を交わしました。

当日、講演会の中では受講いただいた皆様のご質問を取り扱うことはできませんでしたが、澁澤先生にお答えいただきましたので追記させていただきます。

★都市への人口流入と環境との共生はどうあるべきと考えていらっしゃいますか?

ご回答:難しい問題ですね。過去には、大きな天災や不況が襲うと、流れは逆流しました。でも、それを待つのは間違いでしょう。私は、過疎地域の方に、新しい生き方、働き方のモデルをつくろうとしています。それが、新しい地域コミュニティのモデルになれば、世の中が少しは変わるかな、SDGsも温暖化もコロナ禍も、いわばその流れの加速要因にしていければ幸いです。

★欲望をコントロールするにはどうしたらよいのでしょうか?欲望が新しい発見や技術の進歩にもなると思います。上手く付き合う方法はあるのでしょうか?

ご回答:自分を自然の一部と思うか、自分は独立した存在と思うか、により、欲望は変わってきます。地域の自然や、地球のキャパシティを知れば、それは自分の身体、生活や生きる場のキャパと認識できます。自分の命が、地域の自然の生長量に依存していることを知っていた先人たちは、地域の自然を守って、持続的に利用してきました。五感を全部使って、自分の命が有限な地球や、地域の自然につながっていることを知ることが、欲望を抑えられる最善の手段だと信じます。地域の文化は、循環する自然に依存します。文化を愛することも、文明だけを追い求める風潮を変えることになるかもしれません。文化と文明の兼ね合いをつけられるのが、地域コミュニティではないでしょうか。

★人材作りが地域ごとに重要と思いました。なりわい塾のようなものをもっと増やすためには誰がどのように動けばよいのでしょうか?

ご回答:地域の子供は、学校に任せるのではなく、地域の全員で育てるものです。学校は知識を教えてくれますが、生き方は教えてくれません。自分の子供だけではなく、全員で子供たちを育て、愛で、寄り添う。それしか、教育の未来は開けないと思っています。今こそ、社会教育が重要です。

★先生のお話に沿る共通の尺度で、お金でないものを創設する策はないでしょうか。お金に代わる価値観の尺度になるものを作りたい。

ご回答:まず個人の価値観は、個人に任せるとして、地域の価値観は、合意形成の過程でいくらでもできます。真庭のように、地域エネルギーでも良いし、地域の農産物でも良い。あるいは福祉サービスや移動手段も・・・いろいろとあります。その合意形成を丁寧にやる事だと思います。地域には生産者も消費者もいます。次世代のために、皆が少しずつ損をしても、煩わしいことも受け入れよう、そんな「子供たちのために」が、合意形成のキーワードです。経済用語でいえば、ブロックチェーンという概念が近いかもしれません。今は、スマホの中で地域通貨やポイントを共有することは手軽になりました。また、古くはミハエル・エンデの提案した「腐る貨幣」、つまり、使用期限の限られた価値を地域で作ることも可能です。そうすると、価値が貯蓄(貯蔵)に廻らないので、富の偏在や2極化は解消されます。いずれにしても、いろいろと智慧の出し時だと考えています。

★都市で育ち、してもらうのが当たり前、決められた時間割で生きているうち、自分の決定に責任を持つことがとても不安に思うようになりました。子供にも自分にも不安を乗り越え行動実践する力をもつには何が一番必要でしょうか?

ご回答:これは、自分の思考や、行動に癖をつけるしかありません。最初は、小さなことから、自分の行動や考え方を納得していく、体験の積み重ねです。人生は、誰のものでもなく、あなたのものです。あなただけのものです。社会や他人の価値観に追随するのは、「思考停止」しているからです。もの事に対する時、正解やお得な方法を検索するのではなく、まず、自分で考えましょう。うわさ話や、スマホ検索の向こうに正解は決してありません。あるのは、あなたの頭の中、心の中です。自分の直観を信じられると、自信ができ、見える世界が変わってきます。

以上、ご質問いただいた皆様、ありがとうございました。

今後もなごや環境大学では森や自然今ある資源を未来へ繋いでいくことを意識した講座も企画していきたいと思います。

引き続き、なごや環境大学の情報をお見逃しなく!