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【開催報告】なごやをささえる環境学「私たちの足元」を開催しました!!

  • レポート

2022年10月15日(土)10:30より大同大学情報学部 教授 大東 憲二氏をお招きし
第1回SDGsセミナー「なごやをささえる環境学」を開催しました。


ブログの更新が遅くなってしまい、楽しみにしてくださった皆さま大変申し訳ございません。

「なごやをささえる環境学」は全5回の講座で、なごや環境ハンドブックを使用し、専門家からなごやの環境について学びます。

今回のテーマは「私たちの足元」。





なごやの地形と環境の関係の関りについて、
「名古屋市の地盤沈下対策としての地下水管理(掦水規制と地下水利用)」
「なごや水の環(わ)復活」プラン~「水の環復活2050なごや戦略へ」
をお話をしていただきました。

地盤沈下とは、 地表が沈下する現象です。
①地殻運動や堆積物(たいせきぶつ)の収縮
②地下水の過剰揚水による地層の収縮   より起こるものがあります。

地殻運動は、地震で地面にひび割れが起きて、段差ができる現象のことですね💡

・・・地下水の過剰揚水とは???


地面の下には地下水があり、地下水をくみ上げすぎると長い年月をかけて地域全体が下がってしまうので、普通に暮らしていると気が付きません。地盤沈下に気付く例として、井戸ポンプの浮き上がりがあります。

井戸ポンプが浮き上がってしまったように見えますが、実は、地面が下がったことで浮き上がってみえたのです。

濃尾平野の南西部には地盤沈下の進行を示したパネルが設置してあるそうです。


また、地盤沈下が建造物に及ぼす影響を水門で知ることができます。
基礎がしっかり作られている(固い砂礫層の地盤に作っている)水門ですが、粘土層の圧密により地盤沈下し、段差ができているところもあります。



地盤沈下対策として
①工業用水法、建築物用地下水の採取の規制に関する法律。

②条例による地下水の採取規制

地下水管理の手法として

①管理目標となる安全地下水位

②注意報地下水位

③警報地下水位等の設定も考えられています。

地盤沈下を管理する上で地下水がとっても大事な役割を持っていることが分かりました!
2050年の水の環復活に向け、水循環の意識を高めていきたいところです!

大東先生、素敵なご講義ありがとうございました!
ご参加してくださった皆様もありがとうございました!


皆様よりいただいた質問にご回答いただきましたので記載いたします。

Q1. 首都圏では「東京都の地盤沈下と地下水の現状検証について」という報告が平成18年に出ているようですが、中部圏ではどうでしょうか。

A1. 中部地域においては、濃尾平野の地盤沈下について「東海三県地盤沈下調査会」が、毎年、地盤沈下の情報を報告しています。最新版は、2022年8月に公表された「令和3年における濃尾平野の地盤沈下の状況」です。

Q2. 東北新幹線・上野駅が地下水位上昇により浮上する事態が生じ、その対策が大変であったと聞きましたが、名古屋での類似案件があるようでしたらご教示下さい。

A2. 名古屋市内においても地下水位が上昇したことによって、地下鉄への漏水が増えたり、ビルの地下階での漏水の報告が増えたりしています。また、ビルの地下階建設において、地下水が原因となる事故の報告も増えています。

Q3. JRのリニア名駅工事に伴い、近くの地下鉄牛島ポンプ所の湧水量が工事前に比べ1.7倍にも増えています。名城非常口工事近くの田端ポンプ所でも同様です。今後地下鉄等への影響は無いのでしょうか。

A3. 地下鉄に流れ込む湧水はポンプによって排水されますが、洪水によって地下鉄内に雨水が入った時にも排水ポンプが稼働します。リニア中央新幹線の工事中は、地下の掘削によって地下水位を低下させて地下鉄への湧水量を減らすことはあっても、湧水量を増加させることはありません。工事終了後は、地下水位が徐々に上昇することが予測されますので、地下鉄への湧水量は少し増加すると考えられますが、地下鉄の運行には支障ありません。

Q4. JR名駅工事で大量の工事排水があり、その情報開示を求めましたが、市はJRに不利益となるとして非開示にしました。水の環戦略、水循環基本法の改正などで、自治体の責務が謳われる現在、このような現状をどう考えたら良いでしょうか。

A4. リニア中央新幹線の名古屋駅の工事は、深さ30mを超える掘削工事ですので、工事範囲を地中壁で囲むとしてもかなりの量の地下水を汲み上げて排水することになります。この排水量が非開示となったことについては、私は関知していません。環境影響評価の事後調査の項目として報告されると考えます。

Q5.まちなかに、天然温泉施設がたくさんありますが、地下水利用と思います。地盤沈下の影響はないのですか?

A5.名古屋市内にも天然温泉施設が幾つかありますが、それらの井戸は非常に深い井戸で、場所によっては1,000mを超える深さの井戸もあります。このような深度の地層は古くて固いために、地下水を汲み上げても地盤沈下は生じません。ただ、井戸の構造が不適切で、地表付近の柔らかい地層に接した帯水層から地下水を汲み上げてしまうと、地盤沈下を引き起こす可能性があります。

Q6.中堤の活用方法を知りたいです。

A6. 中堤は背割堤とも呼ばれ、2つの河川が合流したり、隣あって流れるために、流れの異なる2河川の合流をなめらかにしたり、一方の川の影響が他の河川におよばないように2つの川の間に設ける堤防のことです。