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特集・なごやエコ最前線

省エネ、廃棄物削減、エコドライブ、生物多様性……多様なエコ活動に取り組む「エコ事業所」が増加中!

2017年2月1日、青少年文化センター(名古屋市中区)のアートピアホールにて、エコ事業所優秀賞の表彰式が開催され、「国立大学法人名古屋大学 鶴舞地区」と「ブラザー販売株式会社 本社」が受賞した。

2002年から始まった名古屋市のエコ事業所認定制度。2012年からは、エコ事業所だけでなく、さらに進んだ取り組みをしている事業者を優良エコ事業所として認定している。2016年12月末現在、その数は2,025事業所(内、優良エコ事業所は207)に及び、毎年20〜30の事業所が新たに認定されているという。

エコ事業所認定(表彰)を実施する自治体は他にもあるが、名古屋の特徴は、エコ活動の対象が多岐にわたること。今回受賞したブラザー販売(株)も社員一丸となって多面的な活動に取り組んでいるので紹介しよう。

掲載日
2017-02-24
取材・文
浜口 美穂
エコ事業所認定制度

エコ事業所・優良エコ事業所の申請* は、「環境に配慮した取組及び評価点」の表において、評価点がエコ事業所の場合6点以上、優良エコ事業所の場合15点以上あることが要件となる**。この表は、名古屋市環境基本計画に掲げられた目指すべき4つの環境都市像「健康安全都市」「循環型都市」「自然共生都市」「低炭素都市」に基づいてつくられている。省エネだけ、緑化だけ、廃棄物の削減だけでは、優良エコ事業所にはなれない。多様な取り組みが求められているのだ。

企業の社会的責任(CSR)が当たり前のように語られる現代、事業所にとってもエコ事業所認定は、手軽に申請でき、認定されることで従業員の環境意識を高め、さらにステップアップするきっかけとなる制度である。メリットとして、エコ事業所のロゴマークを名刺や印刷物に表示できることや、名古屋市の入札・契約制度における優遇措置もある。

名古屋市では、業界団体に働きかけたり、ウェブサイトで情報発信したりするなど、エコ事業所を増やすことに努め、14年間で2,000を超える認定数となった。また、2016年度に初めて、子どもたちが優良エコ事業所を見学する「夏休み子ども会社訪問〜エコな会社を見て、感じて、考える〜」を企画。2015年度の優秀賞を受賞した中部リサイクル株式会社と名古屋東京海上日動ビルディングの2社を、小学生と保護者20組が見学した。「エコの最先端をいくビルの仕組みが見られてよかった」「ショベルカーなど働く車に実際に乗れたのは貴重な体験だった」「ごみの中にたくさんの金属が含まれていることなど、知らないことを勉強できた」など、なかなかできない体験に参加者の満足度も大きかったようだ。また、見学を受け入れた会社にとってもPRのチャンスでもあり、今後のエコ活動の刺激になったに違いない。

* エコ事業所・優良エコ事業所の申請
エコ事業所は通年募集、優良エコ事業所は春と秋に募集を行っている。
** 優良エコ事業所の要件
優良エコ事業所の場合は、評価点の他に、温室効果ガスの年間排出量が基準年度の排出量よりも低下していることや、環境活動レポートを提出・公表することも要件に追加されている。
社員一丸となったエコ活動

「Brother Earth」のスローガンのもと、環境活動に熱心に取り組むブラザーグループ。今回、エコ事業所優秀賞を受賞したのは、ブラザー工業(株)の子会社として国内マーケティングを担っているブラザー販売(株)本社である*。優良エコ事業所に申請して認定されたのは2014年、そして今回初めて優秀賞に応募して受賞することになった。経営理念に「環境や社会に配慮した企業活動に努める」ことを掲げている同社。その独自の環境活動をPRする機会を探して見つけたのがエコ事業所認定制度だった。優良エコ事業所に認定されることで社員への啓発につながることも期待しているという。

「社内全体の環境意識が高く、社員一丸でのエコ活動」「自社製品の回収を通じた、植樹活動や社会貢献活動の実施」が評価され、エコ事業者優秀賞を受賞したブラザー販売(株)。同社の多様な取り組みを以下の表にまとめた。

 実施年(回数)取り組み詳細
会社としての取り組み毎年(1回)自社の展示会「ブラザーワールドジャパン」で環境コーナーを設置ブラザーグループの環境の取り組みや自社製品の環境機能を紹介。
2000年〜(5月、10月の年2回)ブラザーグループで行うブラザーグリーンキャンペーンブラザー工業(株)、ブラザー販売(株)の本社がある地域のごみ拾い。今後は、近隣の他社や保育園にも呼びかけて、地域一丸となった活動に広げていくことを模索中。
2008年〜消耗品の回収・リサイクルインクカートリッジ、トナーカートリッジなどの消耗品を回収し、ブラザーリサイクルセンターに集約して、結束バンドなどにリサイクルしている。
2008年〜(春と秋の年2回)消耗品回収量に応じた植樹活動上記の消耗品の回収量に応じてエコポイントを積み立て、ポイントに相当する広葉樹の苗木を提供。従業員や家族などが参加して「ブラザーの森 郡上」に植樹している。
2010年〜廃棄予定プリンターやFAXの寄贈東日本支援プログラムを運営している「認定NPO法人イーパーツ」を通して、2015年度までに累計1,086台を寄贈。社会貢献だけでなく、廃棄物削減にも寄与。
2014、2015年なごや環境大学の共育講座「エコなモノ創りと、プリンターのエコな使い方」を企画運営ブラザー工業(株)との協働で企画運営。自動両面プリントやインク節約モードなど、プリンターやFAXのエコな使い方を紹介し、実際に使用する体験も。

 実施年(回数)取り組み詳細

















2005年〜(月1回)環境担当者会議環境活動の事務局は、経営企画部が担っているが、人事総務部や営業部など他部門と協力することで、社員一丸となった活動が可能に。各部門・拠点に環境担当者(全20名)を置き、月に一度、TV会議を実施。月次の環境負荷実績の報告や環境情報の共有を行っている。
2008年〜eco検定(環境社会検定試験)に従業員が挑戦事務局が受験のためのオリエンテーションを実施し、過去問題の配信などを行って支援している。2016年9月現在の取得率は87.2%。
2014年〜エコドライブ活動2014年、エコドライブマイスター** 設置事業所に。エコドライブの勉強会を実施したり、社用車に安全運転・エコドライブに活用できる運転支援機器を導入したりするなど、各部門が連携してエコドライブ活動を推進している。
日々の活動省資源活動紙類は5種類に分別(「一般ごみ」「雑多紙」「良質紙」「新聞・雑誌」「段ボール」)。紙袋やボールペン・消しゴムなど余った文具をオフィス内で共有できるBOXを設置してリユース活動も推進している。

上記の各部門の環境担当者が月に一度、オフィス内をパトロール。分別状況をチェックし、分別方法の周知徹底を図っている。

日々の活動省エネ活動(節電)オフィスの全蛍光灯に紐スイッチが付いており、席を離れる時は頭上の蛍光灯を消すことを心がけている。昼休みの1時間は、窓のブラインドを開けて消灯。

* 名古屋市の認定制度であるため、事業所の所在地が名古屋市内にあることが要件となっている。そのため、受賞は本社のみ。
** エコドライブマイスター
名古屋市が認定する、事業者内でのエコドライブ推進者。
消耗品の回収と植樹活動

ブラザーグループでは、1999年から「5R」(リフューズ・リデュース・リユース・リフォーム・リサイクル)をキーワードに環境活動を行っている。それはもちろん、製品づくりの工程や製品そのもの、流通や廃棄物の回収・リサイクルまで配慮された取り組みだ。例えば、流通時のCO2排出量を減らす「梱包ダウンサイジング」の導入、待機電力を限りなくゼロに近づける「グリーンスタンバイ」や、製造時・リサイクル時の大気汚染物質を減らす「塗装レス」の技術開発などが挙げられる。

インクカートリッジなど消耗品の回収・リサイクルは、2008年から取り組みを始めた。インクカートリッジの回収ルートは、プリンターメーカー5社共同で行う「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」*、回収と引き替えにベルマーク点数証明書を発行する「ベルマーク運動」**、「独自の回収サービス」の3通り。その他にも、同社では独自にトナーカートリッジ・ドラムユニット・ピータッチテープカセットを回収している。回収された消耗品は南区にあるブラザーリサイクルセンターで集約され、部品を再利用したり、結束バンドやボールペン、建築資材などにリサイクルしたりしている。

これらの回収量に応じてエコポイントを積み立て、植樹活動につなげているのがブラザーグループのユニークなところ。ポイントに相当する広葉樹の苗(毎回250本前後)を提供し、「ブラザーの森 郡上」(3カ所、約24ha)に植樹。2008年から2016年までの18回の植林ツアーで累計約4,900本が植樹された。森林保全活動への貢献や環境教育を目的として、グループ従業員とその家族が毎回80〜90名参加する他、共同で生育調査を行っている名古屋大学関係者や郡上森林組合、地元住民も参加し、交流を深めている。

* インクカートリッジ里帰りプロジェクト
郵便局や自治体施設に設置された専用の回収箱に集まった使用済みのカートリッジは、障がい者が多く働くミズベ作業所(エプソンミズベ(株))に送られ、仕分けをされて各メーカーへ戻される。その後は、各メーカーのルートでリサイクルされる。
** ベルマーク運動
回収対象はインクカートリッジ、トナーカートリッジ、ドラムユニット。専用回収箱いっぱいに集まった消耗品をブラザーエコロジーセンターで受け取り、「ベルマーク点数証明書」を発行する。後はベルマーク財団で通常のベルマークと同じ扱いに。
eco検定とエコドライブ活動

同社がこれまで積極的に取り組んできたのがeco検定とエコドライブ活動。東京商工会議所(東商)が毎年7月と12月に実施しているeco検定に取り組み始めたのは2008年から。会社で公式テキストや公式過去問題集を無料配布、受験料と交通費も全額負担している。また、環境活動の事務局である経営企画部が受験のサポートを実施。試験2カ月前にオリエンテーションを開いて勉強方法などを紹介し、試験1カ月前からは過去問題の配信を開始する。受験勉強をすることによって、環境に対する関心がより高まり、日常生活でも環境を意識するようになるなどの成果が見られるという。このような会社と社員一人ひとりの前向きな取り組みが評価され、2011年に東商からeco検定推進賞を受賞。2016年9月現在、従業員406人中、354人が合格し(取得率87.2%)、「エコピープル」* となっている。

エコドライブ活動に本格的に取り組み始めたのは2014年から。2014年に名古屋市が認定するエコドライブマイスター設置事業所となった。2015年からは、エコドライブ普及連絡会が制定した「エコドライブ10のすすめ」などの資料を用いて、勉強会を開いている。社用車には「エコドライブ宣言車です」というステッカーを貼付。テレマティクスサービスを導入して走行距離やアイドリング時間、平均燃費を記録する他、急加速・急減速、時速100㎞以上で走行したときなどにリアルタイムにドライバーの上司にメールが配信されるようになっている。また、年間で無事故無違反及び急加速&急減速ゼロの従業員を表彰する「安全衛生大賞」も設けられている。

これらの取り組みやエコカーの導入によって、平均燃費は向上(2012年度は13.80km/ℓ→2015年度は17.61km/ℓ)。2016年度に(公財)交通エコロジー・モビリティ財団が開催するエコドライブ活動コンクールに応募し、「エコドライブ優良活動認定証」を授与された。今後は、さらに取り組みを進め、さらに上の賞を目指したいと事務局は意気込んでいる。

* エコピープル
東商では、検定合格者を「エコピープル」と呼び、エコピープルが検定で得た知識をアクションにつなげていくための支援活動を「エコピープル支援協議会」を通じて行っている。
エコ事業所を応援しよう

名古屋市のウェブサイトでは、優良エコ事業所に認定された事業所の環境活動レポートを掲載している。エコ商品を通じてメーカーを知ることはあっても、なかなか事業所の取り組み全般を知る機会は少ない。機会があれば、消費者が思っている以上に事業所のエコ活動が進んでいることに驚かされることもあるだろう。

環境活動に熱心に取り組む事業所を応援することも、社会をよくするためには大事な消費者の役割。一度、エコ事業所のウェブサイトをのぞいてみてはいかがだろう。また、なごや環境大学共育講座には、事業所が企画・運営する講座もいくつかある。普段は接点の少ない事業所の講座に参加してみると、新しい興味の糸口を発見するかもしれない。

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