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特集・なごやエコ最前線

リサイクルからリユースへモノと人の縁を再び結ぶRe☆創庫

「容器包装リサイクル法」に始まり、「家電リサイクル法」や「小型家電リサイクル法」により、リサイクル(再生利用)はずいぶん進んできた感があるが、それだけでは資源の枯渇や二酸化炭素の排出は止められない。これからは、一歩進んでリデュース(発生抑制)やリユース(再使用)に取り組むことが重要といわれている。

では、生活者は何をすればいいのか。リサイクルならきちっと分別をすることが生活者の役割だが、リデュース、リユースとなるとなかなか行動に結びつかないという人もいるかもしれない。そんな人にもリサイクルと同じルートで気軽に利用できるのがリユースステーションだ。NPO法人「中部リサイクル運動市民の会」が運営する常設のリユース・リサイクルステーション「エコロジーセンター Re☆創庫(りそうこ)」を紹介しよう。

掲載日
2015-02-20
取材・文
浜口 美穂
リサイクルに流れるモノをリユースの循環に

エコロジーセンター Re☆創庫(以下、Re☆創庫)設立のきっかけとなったのは、2008年に環境省の「循環型社会地域支援事業」に応募して実施した「なごやリユースステーション」実証事業である。名古屋大学環境学研究科竹内研究室と中部リサイクル運動市民の会(以下、中部リサイクル)が協働で行った。もともと中部リサイクルでは、1991年からスーパーの駐車場などを借りて定期開催する資源回収拠点「リサイクルステーション」を運営しており、実証事業当時は46カ所で開設(2015年1月現在は45カ所)。そのうちの9カ所で、10月初旬から11月末までの2カ月間、リユースステーションを併設した。各会場に机やハンガーラックを置き、市民が持ち込んだ寄付のリユース品をその場で並べ、欲しいものがあれば無料で持ち帰ってもらう物々交換方式で実施。同時に、リユース品を寄付した人、もらった人に分けて、リユース品目やリユース意識に関するアンケートも行った。

リユース品は衣類、本、陶磁器、鍋・釜類に限定。リサイクルステーションで回収している対象品であるため、もらい手がいなくても、既存のリサイクルルートに乗せられるからだ。ブランドのモノは、民間のリサイクルショップ(実態はリユースショップ)で循環しているが、ノーブランドのモノはリサイクルに流れている。それをリユースできないか確かめるための実証実験だった。実施期間の終わり頃には寄付も増え、「愛着のあるものなので、リサイクルではなく、誰かに使ってほしい」という声も。アンケートでも、「リユースステーションを必要と思う理由」として、「使ってもらいたい」「もったいない」という回答が半数以上を占めた(図参照)。そして最終的に、7割以上のモノがリユースできたという。

常設の資源回収拠点とRe☆ショップを併設

リユースステーション継続への弾みはついたが、それには品物をストックするヤードが必要だった。ちょうどそのタイミングで、リサイクルステーションの古紙を回収している(株)石川マテリアルの熱田区にある営業所が空き、借りられることに。名古屋都市センターの「まちづくり活動助成」を利用して改装をし、2010年6月に1号店となる「エコロジーセンター Re☆創庫 あつた」(以下、「あつた」)を本格オープンした。

Re☆創庫は、念願だった常設の資源回収拠点「リユース&リサイクルステーション」と、寄付されたリユース品を安価で販売する「Re☆ショップ(りしょっぷ)」を併設している。資源回収を目的に来た人にはリユースできることに気づいてもらい、ショップに買いに来る人にはリサイクルステーションの存在を知ってもらえるようにとの配慮もある。

リユース品の回収はRe☆創庫のほかに、定期開催のリユース&リサイクルステーションでも行っている。リユース品は順調に集まり、販売する場所を求めて、2011年10月、春日井市に2号店「エコロジーセンター Re☆創庫 春日井」(以下、「春日井」)をオープン。2014年4月には社会福祉法人との連携も目指して南区に「エコロジーセンター Re☆創庫 さくら」(以下、「さくら」)、10月には東区に「Re☆ショップ よしの」(以下、「よしの」)(リユース&リサイクルステーションはない)もオープンした。

善意をつなぐリユース品

現在のリユースの対象品目は、本、衣類・布類、かばん、靴、陶磁器、ガラス製品、キッチン用品の7品目。かばんと靴は古着の問屋が海外輸出用に回収するようになり、ガラス製品もびんと一緒にリサイクルルートに乗る。キッチン用品は食器と一緒に混じって持ち込まれるようになり、売ってみたところニーズがあることが分かり取り扱いを始めたが、売れ残った場合には産業廃棄物になるという。

45カ所のリユース&リサイクルステーションで寄付されたモノは定期的に各Re☆ショップに運ばれ、スタッフとボランティアが丁寧な仕分け、洗浄を行い、値札をつけてショップに陳列している。その核になっているのが、長年、リサイクルステーションを切り盛りしてきた市民リサイクラー*だ。

売上金は、Re☆創庫の運営費を差し引き、残りを地域の環境活動や社会貢献活動に活用する予定だが、残念ながらまだ全体で黒字になっていないのが現状だ。ただ、「あつた」では、2013年にフィリピンで甚大な台風被害があった際、NGOを通じて数日間の売上金をすべて寄付したことがある。Re☆ショップのお客さんにフィリピンの人が多いため、現場スタッフから「恩返しがしたい」と声が上がったためだった。善意の寄付がもたらす収益だけに、今後、どのように地域の環境活動に還元していくか、そしてそれをどのように情報発信していくかが大きな課題となっている。また、古着や食器などの日用品が集まるRe☆創庫の社会貢献活動として、災害時の支援ができないか考えているという。

寄付されたモノを店で売り、その収益を社会貢献活動に充てる仕組みは「チャリティーショップ」と呼ばれる。ヨーロッパに始まり、国内でも7団体ほどが活動するが、中部リサイクルのようにごみ減量をそもそもの目的にしているところは初めてだ。今年1月15日には、全国各地からチャリティーショップを運営する団体が名古屋に集まり、今後の普及・拡大などについて意見交換をするフォーラムを開催。チャリティーショップのネットワークをつくる動きもある。

*市民リサイクラー
1991年から始まった中部リサイクルのリサイクルステーションは、市民のボランティア=市民リサイクラーが現場の運営を担う。分別の手伝いや積み込みのほか、利用者とのコミュニケーションを通じて環境保全の大切さを伝えるという役割も持つ。現在70人ほどが登録。
特徴ある4つのショップ

4つのRe☆ショップにはそれぞれ特徴がある。1号店の「あつた」は今年で5年目。一番スペースが広く、品数が多い。周辺に新築マンションが増えてきたこともあり、常連客も多いのが特徴だ。定期的に手仕事サロンも開催し、リメイクの和布小物づくりも行っている。

名古屋市北区や守山区からも近い「春日井」は、大きな公園の前にあるため、公園に集う人が寄ってくれることも多い。ここでも、月に一回、ものづくり教室を開き、端切れを使って裂き織りや布ぞうり・箸袋づくりなどを行っている。

「さくら」は、社会福祉法人「親愛の里」の地域活動支援センターの一角を借りて営業。ゆくゆくは障がい者が作業に関わるなど、福祉と環境活動の連携を模索中だ。ショップでは、親愛の里の事務局がある長野県下伊那郡松川町のジュースやジャム、近所の移動パン屋さんのパンの委託販売も行い、相乗効果を生んでいるようだ。

昨年10月にオープンした「よしの」は、出店の計画はなかったが、たまたまよい条件の物件があり、市内西部にも拠点を広げるために出店を決めたという。隣にはコミュニティカフェがあり、グリーンコンシューマー活動をする市民グループの拠点にもなっているため、今後、連携の可能性もありそうだ。

Re☆創庫は気づきの場

地下鉄「桜本町」駅から徒歩10分くらいのところにある「さくら」を訪ねた。店の責任者であるマネージャーは、市民リサイクラー歴20年以上の浅井久美さんだ。「ここにいるとモノと人の縁を感じます。モノが人を呼んでいるという感じがするんです」と浅井さん。モノを出して1時間もしないうちに、ふらりと立ち寄った人が「これ、何年も探していたモノです」ということが一度となくあるという。「モノも喜んでいます。もう一度、欲しかった人のところに行けるのだから」と、浅井さんは話す。

売れ残ったものも簡単にリサイクルに回さない。少しでもモノのいのちを延ばしたいと、値段を下げて必要な人の手に渡るよう考える。10円コーナーや50円コーナーに「まだまだ食器で活躍したいんです」というPOPを掲げて・・・。 

「さくら」のトイレの壁には「ご使用後、ベン座のふたは閉めて下さいね!! CO2の削減になります」という「エコねこのひとりごと」が貼ってある(写真参照)。「ショップは気づきの場になっています。不用品がどうなっているか、リユースがどういうものか、話のきっかけになる。寄付したり、買ったりすることで、リユースを身近なものとして実感できると思います」。民間のリサイクルショップでもない、他のチャリティーショップとも違う、Re☆創庫ならではの情報発信をしていきたいと浅井さんたち現場スタッフは考えている。

掘り出し物を探しにRe☆創庫に出かけてみませんか? 思わぬモノと人と情報にめぐり会うかもしれません。

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