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全市でレジ袋有料化を目指して!緑区でモデル事業スタート

2003年10月にスタートした「エコクーぴょん」。2007年8月現在のレジ袋お断り率* は13.3%と年々微増しているものの、ポイント制の限界も感じられる。「マイバッグが当たり前」になるためには、さらに一歩進んだ取り組みが必要と、今年10月1日、名古屋市緑区でレジ袋有料化のモデル事業がスタートした。

全市に広げるための第一歩をどのように踏み出したかを紹介しよう。

掲載日
2007-10-13
取材・文
浜口 美穂
レジ袋60%削減が目標

これまでレジ袋削減の取り組みを進めてきたのは「容器・包装3R推進協議会」。レジ袋削減だけではなく、容器・包装の3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進するため、2001年に発足。消費者団体、事業者団体(小売り・製造業界含む)、学識経験者、行政で構成される団体だ。

協議会の部会でレジ袋有料化の方針を決めたのは今年2月。2010年度以降、全市で有料化を実施し、レジ袋の60%削減を目指す。現在の市内のレジ袋排出量は年間約10億枚(約7,000トン)なので、約6億枚(約4,200トン)を減らさなくてはならない。

7,000トンのレジ袋を製造するためには、石油を14,000トン使用していることになる。60%減らせば、その分の石油で約1万世帯の電気消費量がまかなえるという。レジ袋削減は、ごみの減量はもちろん、限られた資源を節約し、また、CO2排出量も抑えることになるので地球温暖化防止にも役立つといえる。

*レジ袋お断り率
エコクーぴょん参加店からの還元金の請求に併せて、報告があったものを集計。
28店舗が参加

まずは1つの区でモデル事業を展開することになり、緑区に正式決定したのは今年6月。他都市ですでに有料化を実施している店舗を持つイオンやユニーなどを含め、スーパーが市内で一番多い区であり、市民団体の協力も得やすいとの判断があったという。

7月から参加店を募集。8月には説明会を開いて、多くの事業者が集まった。とはいえ、客離れを心配する食品専門の小売店や、ふらりと立ち寄る客が多いコンビニは参加せず、結局、11月に加わる2店を含め、28店* が有料化に名乗りを上げた。

参加店では、9月から店頭キャンペーンを実施。のぼりやポスターで有料化をPR。行政職員、店従業員、緑区の保健委員やエコクーぴょんPR隊** などの市民も合同で、マイバッグ宣言の署名やアンケート、マイバッグプレゼントを行い、マイバッグ持参を呼びかけた。

9月23日には、参加事業者と名古屋市、容器包装3R推進協議会の間で正式に協定を締結。協定書には、事業者、市民団体、行政、協議会の各々の役割が明記され、協働でレジ袋の削減に取り組んでいくことを宣言している。

□ 事業者の役割:
・ レジ袋の無料配布は行わず、レジ袋のお断り率の目標値を提示して実現に向けて努力する。
・ レジ袋収益金は環境保全活動や地域貢献活動などに還元し、その内容を公表する。
・ お断り率の状況などを公表する。

□ 市民団体の役割:
・ モデル店の取り組みを積極的に支援する。レジ袋削減を市民に呼びかけ、運動を拡大する。

□ 名古屋市の役割:
・ 取り組みのPR。その効果や課題を調査し、協議会に報告。

□ 協議会の役割:
・ 取り組みの支援。その効果や課題を評価・公表することなどを通して、活動の拡大を目指す。

*28店の内訳
スーパー区内31店のうち24店(11月から参加する1店含む)、生協1店(11月に開店)、ドラッグストア1店、輸入食品・雑貨店1店、衣料品店1店。その他、参加を表明しているものの実施時期は調整中の店舗が3店あり。
**エコクーぴょんPR隊
2004年12月に市民公募により結成。現在16名が登録し、店頭キャンペーンやイベントに出展して、エコクーぴょんやレジ袋削減のPRを行っている。
順調な滑り出し

10月1日、緑区内26店で一斉にレジ袋の無料配布をやめて有料に*。アピタ鳴海店ではセレモニーも行われて、地元の保育園児が「みんなでへらそうCO2」のダンスを踊り、マイバッグ宣言をした。

1カ月前からPRをしてきたこともあり、お客さんはほとんどマイバッグ持参。「今日から持参します」という人、「いつもマイバッグを持ち歩いています。店から家に帰るまでの間だけ使うものだから、これほどもったいないものはないよね」という長年のマイバッグ派も。買い物袋販売コーナーでじっくり選ぶ人の姿もあった。

まだスタートしたばかりで実際の統計はとれていないが、市では現在のところ80%前後のお断り率を示すのではないかと期待している。

「苦情もほとんどなく、驚いているくらいです。今まで分別などに熱心に取り組んできた成果かもしれません」と市環境局の担当者は話す。

*レジ袋を有料に
スーパーは1枚5円、ドラッグストアなどは5円、3円、2円のところもある。
事業者の反応

モデル事業に先駆けて今年6月9日に開催されたレジ袋有料化シンポジウムには、約400名の市民が参加。有料化に対する関心の高さが伺えた。

パネルディスカッションには、協議会の構成団体である消費者団体・事業者・行政の代表などが出席。事業者の代表であるユニーやイオンの担当者からは、お客さんあっての事業なので、消費者と協働で取り組むことや事業者の足並みをそろえることの必要性、また、レジ袋削減からスタートして次なるごみ減量の取り組みにも進んでいきたいという前向きな抱負なども聞かれた。

今回は28店でスタートした有料化も、現在、実施時期を調整中の店舗が3店あるほか、サークルKでは、モデル事業に伴い制作したポスターを利用してレジ袋削減を呼びかけたり、マイバッグをプレゼントして持参を呼びかけるなどの取り組みを始めている。

事業者も環境問題に取り組む時代。モデル事業の結果いかんで有料化に踏み切る予備軍は多いだろう。それを後押しするのが消費者なのだ。

政令指定都市では初めて

今年に入って全国でも有料化の動きがあちこちで起こっている。1月には東京都杉並区でサミット成田東店、京都市でイオン東山二条店が有料化。京都市では、現在5店に増えている。その後も、仙台4店、横浜3店など続々と有料化の動きはあるが、店舗ごとの「点の取り組み」にとどまっている。

そんな中、「面の取り組み」を始めたのが新潟県佐渡市(人口約68,000人)と三重県伊勢市(人口約135,000人)。佐渡市では、今年4月から、市内全域を対象に小売店800店のうち約190店が有料化を実施。伊勢市では、今年9月21日から21店で有料化を実施している。

2都市に引き続き、面での取り組みを始めた名古屋市。政令指定都市ではもちろん初めて。しかも、緑区だけで人口は約220,000人なので、人口規模では一番大きいことになる。

環境省でも「点から面への取り組み」を重要視している。今後も増えていくであろう有料化の流れの中で、名古屋の取り組みは先進事例として全国的にも注目されるに違いない。

今後の展開

モデル事業は来年1月までの3カ月間。事後アンケートで、レジ袋お断り率や客数、売上高などの分析・評価を行い、これを踏まえて、来年度以降のレジ袋有料化の拡大方法を検討することになる。

全国の先例によると、レジ袋1枚5円にするとマイバッグ持参率は7割、1枚10円にすると9割くらいになるという。マイバッグを持つ人が7割を超えれば、「マイバッグが当たり前」「持っていないと恥ずかしい」という世の中に。ここからさらに、容器・包装全体を減らす取り組みへと発展させるのが最終的な目標だ。

買い物段階でごみになるものは買わない、もらわないのがグリーンコンシューマー。まさにこの「緑の消費者」が緑区から増えていくことを期待したい。

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